日常の豊かさ、輪島塗のお椀

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地方の名家を訪れた際にいただいたココアは、美しい輪島塗のお椀に注がれておりました。陶磁器とは違う触感に戸惑いながらも、軽くて手に馴染む器の優しい温もりを感じ、特別なココアを頂いた気分になりました。

輪島塗とは、石川県輪島市で生産される漆器の事で、土台となる木地には、生漆や米糊、輪島地の粉と呼ばれる焼成粉末珪藻土を混ぜた下地が幾重にも施されています。そのため、美しさだけでなく、堅牢さにも秀でているのが最大の特徴です。

輪島塗の技術は、室町から江戸時代にかけて確立しました。現在では国の重要無形文化財にも指定されている日本を代表する伝統工芸です。当初は神具・仏具、装身具に使用されるのが中心でしたが、次第に椀や花器などとして民間にも広く普及していったといわれています。年月とともに形状や意匠に工夫が重ねられ、蒔絵や沈金、螺鈿(らでん)といった華麗な装飾の技巧も磨かれていきました。

輪島塗というと華やか漆器をイメージし、日常使いに適さないように思われがちですが 漆は防水、防腐、耐熱など総合的にも優れた塗料で、塗り方がキチンと正しく施されていれば、丈夫で、軽くて壊れにくい、そして美しいと三拍子揃った大変使いやすい食器でもあります。

「お手入れが大変そう、難しそう・・・」と勘違いされている方が多いのですが、普通の漆器は全て、通常の食器同様スポンジと洗剤でお手入れをして頂いて構いません。ただし、食器洗浄機は使えません。素材が木なので乾燥や紫外線に弱いため、暖房が直接当たる、直射日光に当たる場所での保管は避けてください。しっかりキレイ汚れを洗い落とし、水気を切ってからしまう、プラス綿の布巾での「乾拭き(からぶき」をすると、お手入れ毎に漆の輝きが増すのが実感できます。

キチンと作られた漆器でしたら、ひびが入ったら修復も可能です。落ちてしまった漆の塗り直しもできます。漆器のクリーニングをしてくれるお店もありますので、とにかく、長持ちして重宝します。

お祝いの品、海外への贈り物としても重宝いたしますが、先ずは日常使いとして、シンプルな輪島塗のお椀を自分用に使ってみるのがおすすめです。日常の豊かさとふくやかさを味わっていただけます。輪島塗の熟練した職人達によって丁寧に重ねられた漆の滑らかな触感は、色合いだけでなく、器が醸し出すあたたかい雰囲気と相まって、料理の風味さえも引き立ててくれます。

お椀は形状によって用途が異なります。汁椀は冷めにくさを重視して空気の触れる面が狭く、その分深い形状になっています。飯椀の面は広めと用途に合わせてお選びください。

意外に思う方もいらっしゃいますが、輪島塗の漆器は和食に限らず、フレンチやイタリアンなど様々な食スタイルにも調和し、テーブルに格調と華やぎが生まれます。

お椀に馴染んだ頃には、次は何を食卓に添えようか、と次の器を選び、揃えていくことで楽しみが増える輪島塗のお椀。日常に豊かさをもたらしてくれる逸品です。

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(photo:https://pixta.jp/)

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